『摂食嚥下・脱水予防について』の講演会開催

2011-07-26

 当施設でもご利用者様、ご入居様にお食事を提供させて頂く際、誤嚥等の危険を身近に感じております。又、暑い季節を迎えまして毎年水分補給による脱水対策が課題になっております。
 こうした現状と課題への対応として、平成23年7月7日(木)、14日(木)の2回にわたり、当施設内地域交流ホールにて、講師に株式会社フードケア営業部係長で、サプリメントアドバイザーでもいらっしゃる鈴木良先生をお招きして、約1時間「摂食嚥下・脱水予防について」の講演会を開催致しました。
 講義の内容を一部ご紹介致します。

 1.摂食嚥下について
 口腔・咽頭は食べ物の通路でありながら、同時に呼吸の通路でもあります。それによって、人間は発声することができるようになったと同時に、誤嚥しやすくなってしまいました。
 摂食嚥下の流れは、5段階に分かれます。
①    先行期(認知期)・・・何をどれくらい、どのように食べるのか判断する時期
②    準備期(咀嚼期)・・・食べ物を口に取り込み、咀嚼して、唾液と混ぜて、食塊をつくる時期
③    口腔期・・・食塊が舌によって、口から咽頭に送り込まれる時期
④    咽頭期・・・咽頭に運ばれてきた食塊を嚥下反射によって食道まで移送する時期
⑤    食道期・・・食塊を食道内から胃へと送り込む時期
 この5段階の“どの時期”に問題があるかで対応が変わってくるため、摂食嚥下の対応をするにはこれを覚えることが重要であると先生はおっしゃっていました。
 とろみ剤を利用して、液体にとろみを付ける実演も行いました。とろみがつきにくい飲料は、とろみ剤を溶かしてから、数分~10分置かないととろみの状態が安定しないことが実演でよく分かりました。注意する点は、とろみが付かないからととろみ剤をどんどんつぎ足さないことだそうです。またとろみが付いている水分に再びとろみ剤を追加すると、“だんご状”になり誤嚥の危険が高まります。

 2.脱水対策
 身体の約60%が水分であり、体液と言います。体液の割合として、高齢者が50%、成人が60%、小児が70~80%と、通常の状態でも高齢者は脱水に近い状態にあります。しかし、高齢者は口渇感度の低下やトイレを気にして水分を控えたり、むせるため水分が摂取しにくいなど、高齢者は脱水になりやすいのです。
 体液は“水分+電解質”です。脱水から回復するには、異常な水分支出(発汗、嘔吐、下痢)の原因を取り除き、失われた“電解質入りの飲料”を補給することが望まれます。家庭ですぐできる経口補水液(ORS)の作り方は、水(1リットル)+砂糖40g+塩3gだそうです。

 ご利用者様、ご入所居様には、いつまでも安全に楽しくお食事をして頂くことと、適度な水分補給による脱水症状の予防ができることが、介護に関わる私たちの使命でもあると思われます。今回の講演を日頃の業務に生かし、より良い介護を行えるよう努力して参りたいと思います。

管理栄養士 市川

『摂食嚥下・脱水予防について』の講演会風景『摂食嚥下・脱水予防について』の講演会風景

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