内部研修会「看取りケア」~「生きる」を支える看取り介護とは~

2016-02-03

01 平成28年1月28日(木)全職員を対象に看取りケア管理委員会主催による内部研修会をおこないました。
 超高齢社会の次にやって来る「多死社会」において、2030年には約60万人の方に看取りの場所がない計算だといわれています。そうなると、これからは自宅や多様な施設などの住み慣れた場所で、看取りを行っていく必要があると思われます。当園でも特別養護老人ホームの重要な役割として受け止めています。
 金沢弁天園では、平成22年9月に看取りケア管理委員会準備委員会を発足し、平成23年6月より看取り介護を導入しました。これまでに(平成28年1月末)、82名の入居者様の看取り介護に携わり、当園で最期まで過ごしたいと希望する入居者様も増えつつあります。看取りケア管理委員会では、よりよい看取りの環境を整えていくために多職種で定期的に話し合いを重ねています。
 内部研修会では事例から看取り介護を振り返り、介護するものの目からも終末期を考えられるようディスカッションも取り入れながら進行しました。

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  「口から食べられなくなったら、どう?」
 入居者様が口を開けなくなったり、咀嚼せず、いつまでも口の中に食べ物をためたりするようになり、もう、体が食べ物を必要としなくなっていることに、いち早く気づくのは介護職の観察です。食事の内容や今後の対応など、多職種で相談し、ご家族とも当園で自然な最期を迎えるか、それとも病院に行くことを希望するか、また延命治療を望むか話し合いの場を何度も重ねるようにしています。

04 看取り介護とは日常の観察が重要であることに、ひとりひとりが頷いていました。
 介護や看護ばかりでなく管理栄養士、生活相談員、ケアマネージャーが援助を通して一丸となれば、生活の場を最期までしっかりと保つことができると考えられます。そして、忘れてはならないのが24時間365日をともにした入居者様同士のつながりです。取り上げた事例では、毎朝食事を終えた仲良しの入居者様がお部屋を訪ねて、声をかけ励ましに来てくれていました。入居者様も一緒に看取り介護に参加してくれていました。ユニットスタッフと入居者様が居室で演奏会を開き、楽しい雰囲気づくりは事例の入居者様にとって、最期まで安心を感じてもらえたのではないでしょうか。

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   そして、グリーフケアとして、今年度より祭壇を設置することにしました。ユニットスタッフを中心に仕上げる祭壇には故人を偲ぶ思いが溢れていました。共に暮らしてきた入居者様も穏やかな目で見つめていらっしゃいました。偲びのカンファレンスでは積極的な意見交換に成長が垣間見えました。ご家族から感謝のお手紙に涙する職員もいました。
 当園の看取り介護では、たった一度のその人の人生のできごとを誠意と真心をもって見送ることができる環境、そしてこころづくりを大切にこれからも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

(金沢弁天園 根本記)

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